

studio: kobayashi studio
タグ:Architecture










これは何の部屋でしょう?正解は、元は空き家だった物件に付属する倉庫だ。店舗併用住宅だったため、おそらく在庫品の保管に使われていたのだろう。現在の住人からの依頼でこの倉庫を利用して厨房をつくる計画があり、初めて中を覗いてみた。すると壁一面に、細長い木材がびっしりと打ち付けられていた。何かの用途があったのか、あるいは意匠的なこだわりだったのか、理由はわからない。何もない寂れた空間を想像していたので、いい意味で裏切られた。元の住人の歴史が感じられるこの仕上げを、あえて残し意匠として活かす案が浮上している。建物の個性が生きることで、二つとない空間になる。それこそが、リノベーションの醍醐味であり、楽しみだ。





これは何の部屋でしょう?正解は、元は空き家だった物件に付属する倉庫だ。店舗併用住宅だったため、おそらく在庫品の保管に使われていたのだろう。現在の住人からの依頼でこの倉庫を利用して厨房をつくる計画があり、初めて中を覗いてみた。すると壁一面に、細長い木材がびっしりと打ち付けられていた。何かの用途があったのか、あるいは意匠的なこだわりだったのか、理由はわからない。何もない寂れた空間を想像していたので、いい意味で裏切られた。元の住人の歴史が感じられるこの仕上げを、あえて残し意匠として活かす案が浮上している。建物の個性が生きることで、二つとない空間になる。それこそが、リノベーションの醍醐味であり、楽しみだ。


studio: kobayashi studio
タグ:Architecture


やはり、外部環境や窓というのは、建築を見る視点として、役割が大きいように思う。窓は視点を定義して、外部環境はそこに投影される。この建物で過ごすことは映画を見ているような体験だった。ライブリーに動く子供。その前を通り過ぎる車。それを縁取るフレーム。コーヒー。同じ風景を見ているようで刻々と時間が流れて行く。そんな日常を作るのも建築家の仕事の一つである。


studio: takashima studio
Work: Kさんのためのアパー
タグ:Architecture


事務所のすぐそばに、10年から20年ほど放置されていた空き家がある。以前から少しずつアプローチをしてきたのだが、今回ようやく持ち主さんとの話がまとまり、引き継ぐことができた。持ち主さんは関西に住んでおり、相続したこの家を使う機会はなかった。使われない家は、時間とともに確実に傷み、月日を経るごとに手間もコストも増えていく。使わない家は、そのまま抱え込むのではなく、使える人へと継承されていく。それは、都市としてとても健全な循環だと常々感じている。建物は所有され続けるよりも、使われ続けることで価値を保つ。この家をきっかけに、この街がまた一つ良くなるような使い方を、考えて行きたい。


studio: takashima studio
Project: 明日の郊外団地
タグ:ArchitectureReal estateStudy


ディスプレイする棚の寸法関係や操作性を確認するを作るためにモックアップを作った。壁合板の目透かし部に差し込むためにまず端部を欠き取り、その後レコードを差し込むために溝を掘る。尺金を使って木材に墨を出し、丸ノコで欠き取り、溝切機で溝を掘る。時間にして10分程で作成できた。入社するまでDIYすらもほぼやったことないレベルだったが、4年近くもkurosawa kawara-tenで働いていると施工スキルが大分ついてきたなと思う。このモックアップは最終的に使うものではなくあくまでも試作品であるため、大工さんがやるほどの精度ではやっていないが、設計者として寸法を詰め切るためにもモックアップは時に必要であるため、サクッと施工ができる能力があるということは、設計者としては大分得だなと思う。


studio: kobayashi studio
Work: On Re. Bas
タグ:ArchitectureStudy


3年半ほど断続的に動かしてる蔵プロジェクトであるが、もので溢れてきてしまう&プロジェクト自体も動いてないと、まるでゴミ屋敷のような状態になってしまう。そうなってくるといざ工事を始めようと思っても、物理的にも気持ち的にも工事がし辛い状況となってしまう。(いい意味で)何かが起こりそうな場というものの設えというものはあって、間違いなく今の現場状況はなっていなかった。まずは使わないものを現場から下げ、掃除をして、ものを纏めて、次からスムーズに施工が出来るように場を整えた。いい雰囲気が出てきたと思う。


タグ:Architecture


とあるマンションの解体工事が始まった。いざ壁や床を開けてみると、いろいろな発見があり、予想を裏切られるようで面白い。この現場の1階を解体してみると、本来ならば必要のない場所に断熱材が見えてきた。不思議に思い昔の図面を見てみると、反対側は駐車場であることがわかった。いわいるマンションなどにある室内駐車場である。また、床を壊すことでスペースがもっと広く使えることがわかってきた。どう使っていこうかと想像が膨らむ。たまに、壁を開けてみると材が腐っていて、交換しなければいけないなどの嫌なこともあるけれど、建物を解剖しているようで、楽しい工程の一つである。


studio: takashima studio
Work: ハナエステ
タグ:Architecture


新しいプロジェクトの敷地調査に行った。かなり急な斜路を登った先にふっと敷地があらわれ、振り返るとみなとみらいや富士山がかすみ、日暮れという時間もあいまって絶景だった。かつてはススキの原っぱや照葉樹林が広がっていたのだろうなとしばらく感傷にひたりつつ、ここで新しい暮らしを始めようとしているお二人の背中を柔らかく押してあげたいと思った。


studio: takashima studio
タグ:Architecture


先日、住宅を建てさせていただいたお客さんと一緒に、敷地内に併設する音楽スタジオ棟をつくっている。骨組みと外壁、屋根までは職人さんにあらかじめ施工してもらい、内部の吸音材や防音壁、内装仕上げはDIYで行う計画だ。お客さんのDIYに、設計者である僕らも加わるこのやり方を、僕らはDIT(Do it together)と呼んでいる。防音は、重量による遮音と、反響を抑える吸音材の組み合わせで成り立っている。実際にパネルを持ち上げ、そのパネルの重さや、空気層の数、その間にいれる綿を見ると、たしかに防音しそうだと、肌で実感する。 知識では知っていても実際に手を動かしながら、重さや固さ、手触り、施工の大変さなどを感じるこの進め方は、学ぶことがとても多い。


studio: takashima studio
Work: Ngさんのための家
タグ:Architecture


高島スタジオの拠点となる場所の陸屋根のシート防水を施工しながら、ここ最近現場監督に徹する時期が続いていたので自分で施工することの楽しさを感じていた。防水工事の施工はFRP防水しか経験がなかったのだが、似ているところもありつつ、塗料の混合の仕方や硬化のスピードには違いがあり、新しい工法に久しぶりに触れたことが新鮮だった。世の中には様々な工法があり、その種類の膨大さに先人たちどれほどの試行錯誤と創意工夫があったのだろうとしみじみと思う。


studio: takashima studio
タグ:Architecture


第三オフィスを絶賛整備中で、今日は増築棟の屋根の防水工事を行った。以前、藤江ビルの屋上防水工事の際に職人さんからレクチャーを受けていたおかげで、今回はとてもスムーズに工程を進めることができた。普段から職人さんとの距離が近い私たちだからこそ、教えていただきながら自分たちのできることを少しずつ増やしていけるのだと実感した。


studio: takashima studio
Project: 吉野台団地
タグ:Architecture


冷え込みが厳しい季節になってきた。社宅として住まわせていただいている築120年以上の古民家は、日当たりの悪さや、経年による柱・梁の歪みから生じる隙間風のせいで、冬はかなり厳しい環境になる。(その代わり、夏は扇風機だけでも割と快適に過ごせる。)少しでも断熱性能を高めるため、障子紙をプラスチック段ボールに張り替えている。暖気が逃げにくくなったのはもちろん、障子よりも光の透過性が高く、ほどよい自然光を取り入れることができる。子どもができた今では、障子紙を破られる心配がないのも嬉しいポイントだ。朝起きて、プラダン越しにやわらかく差し込む光を感じられる光景が、今の暮らしのささやかな楽しみになっている。


studio: kobayashi studio
タグ:Architecture


施主が料理人であるというアイデンティティから着想を得て、円柱を用いた設計を行なっている。円柱はお皿の形をイメージしている。詳細設計に入って細かい収まりや素材選定が始まったのだが、ここにきて再び言語化の壁にぶつかってしまった。基本設計の時にも何度もぶつかり、脱出できたと思っていたのだが、まだまだ甘かったみたいだ。ボスからのエスキスと、一冊の本をお借りしたことで一晩考え抜いた。お皿とは、料理とは、旬とは、食とは。それを建築空間として捉え直すこと。世界一のレストランとして知られるNOMAの本には美しすぎる料理の写真が多数あり、食事という体験を最大化させたような料理たちからたくさんのイメージが発散された。いつか自分も世界一のレストランに行ってみたい。


studio: kobayashi studio
Work: Iさんのための家
タグ:Architecture


上総牛久駅前で地域の方々のためのこども食堂の開業をサポートしている。先日、ともに立ち上げをサポートして頂いている開宅舎の代表でありデザイナーの高橋さんと一緒に、食堂のコンセプトを見据えるべくブレストをおこなった。提供する食材や開業運営にかかわる人材資材など、その多くが地域のサポートで成り立つ場所をつくりたいというお施主さんの意向から、高橋さんや我々の人脈をフル動員してたくさんのアイデアが出た。開宅舎、そしてkurosawa kawara-tenがこの地域で育ててきた人のつながりを実感してなんだか誇らしいと同時に、僕らがこの地域で出来ることがとても増えているということを肌で感じる。建築だけでなく人と人、人と地域の関係性をつくっていきたい。


studio: kobayashi studio
Project: つりはいらないよ食堂
タグ:ArchitectureDirection


先日竣工してお引き渡しした物件にピアノが搬入された。そのためにアーチ型のはめ殺し窓を外して入れ直す作業を行う必要があり、作業自体は簡単でも高所のため足場を準備する必要があったり、ピアノ搬入業者との絡みもあるため少々大変なところもあった。一度外すことになったのは、詳細設計時に自分の力ではおさめることができずに先輩に助けてもらった窓だったので、改めておさまりを見直すことができてさらに理解が深まったと思う。搬入されたピアノは装飾が印象的なアップライトピアノで、この建築のコンセプトにもぴったりなものだった。設計趣旨を理解して理想的なピアノを選定してくださったお施主さんには頭が上がらないなと思いつつ、良好な関係性を続けることができている現状に感謝する二日間だった。


studio: kobayashi studio
Work: Knさんのための家
タグ:Architecture


On Re. Baseプロジェクトの増築に使用する構造材は、材木屋さんからいただいた一次製材状態の木材を製材所で必要寸法になるように再度製材したうえでプレカットをお願いすることになっている。先日、打ち合わせとテスト製材を兼ねて、プレカットをお願いする予定の大三商行の担当者さんと一緒に製材所に視察に伺った。あえて木材の耳を残した状態でのプレカット加工にチャレンジするため、製材方法について打ち合わせをし、実際に製材する様子を見せていただいた。普段なかなか目にすることがない大型の帯鋸製材機にテンションが上がる。建築が多くの関係者の職能と創意工夫で出来上がっていることを実感した1日だった。


studio: kobayashi studio
Work: On Re. Bas
タグ:Architecture


最近、Kenzoの行動で気になることがある。事務所のカーペットや土間に、しっぽを振りながら頭を擦りつけるのだ。調べてみると、自分のお気に入りの場所に匂いを付ける行動らしい。Kenzoが来てもうすぐ3ヶ月になるが、ここが彼にとって安心できる場所になってきたのだと思うと、とても嬉しくなった。(最近のお気に入りは冷たい土間に寝そべりながら日向ぼっこをすることみたい)


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今、事務所では迷い犬を保護している。KENZOと呼んで、スタッフみんなで散歩を分担している。普段、捌ききれないほどの仕事がある中で散歩に行くというのは、一見すると負担のようにも思える。
だけど実際には少し違う。プライオリティを下げられないことや、自分が大切にしたい時間は、意識してでも確保してしまう。無理にでも時間をつくり、残りの時間で仕事をやり切る。そんな良い訓練になっている。そして何より、散歩している時間は心地いい。いい運動になり、季節の変化に気づき、ふと煮詰まっていたプロジェクトのアイデアが浮かぶこともある。視界や思考が狭まっていたことに、外へ出ることで気づく。KENZOがこの場所にいることが、刺激にもリラックスにもなっていて彼に感謝している。


studio: takashima studio
タグ:Study


最近になって、住所がない土地というものがあるということを知った。分譲地では建物が建って玄関の位置が決まると住所を行政にもらえるという仕組みで運用されていることには驚いた。同時に地番とか家屋番号とか世の中には決め事が多い。そして、住宅ローンを決済するまでの道のりも長い。現場監督をしつつ、行政や審査機関、土地家屋調査士とのやりとりをしながら、市街地にある住宅というのは社会性のある建築なのだということをこのような煩雑な手続きの中で改めて実感する。とにもかくにも、住所がない土地にものを配送してもらうのは大変で、配送業者と電話でやりとりする煩わしさから解放されると思うと住所表示のありがたみを強く感じる。


studio: takashima studio
Work: Myさんのための家
タグ:Architecture


事務所の外構に植わっている高木について、電線にかかっている部分を伐採することになった。以前にも同じ理由で伐採を行っており、その結果、枝ぶりが多少いびつだ。その話を聞いて、斜線制限によって不自然に切り取られた建築の姿が思い浮かんだ。(最近、日影規制を扱っていたので敏感になっている。)些細なことだが、自然と人工物が共存することの難しさを改めて感じる。でも私たちは自然の中で生きているし、これからも生きていきたい。都心の管理された植栽も魅力的だが、この土地で暮らし始めてからは、力強い自然の生命力の美しさにも気づかされるようになった。人工と自然のちょうど良いバランスを探すことは、いつだって大きな課題だ。


studio: kobayashi studio
Work: ハヤシハウス
タグ:Study


先日、階段が完成した。構造体の補修で一部解体していた場所である。長らく仮の階段を使用しており、登り降りが多少不便であった。新しい階段は一見、単純そうな作りに見えるが、とても複雑で、一筋縄ではいかないことを痛感した。そして、その複雑なものを何食わぬ顔で作り上げる大工さんには、頭があがらない。この写真は、古い階段と新しい階段の合わさる部分である。素材は違えど、面が揃っており、とても気持ちが良い。階段が使い込まれ、育っていく様子が楽しみである。


studio: takashima studio
Work: 千葉本町プロジェクト
タグ:Architecture


職人さんにこのように施工してほしいとお願いするときに、「それは無理だよ」と言われることがよくある。ただ、この無理の意味合いはかなり多くの意味を含んでいて、今の予算だとできない、物理的におさまらない、通常のやり方ではないから避けたい、面倒だからやりたくない、などその状況によって異なる。こういうときに、何が無理なのかということを丁寧に解きほぐし、どうしたらやりたいことが実現できるのかを明確にさせていくということが現場監督の役割だと思う。エアコンの先行配管を自分たちで行った自社物件で、この配管だとつけられないと言われた内容を丁寧に解きほぐすことで、今日もなんとかやりたい状況を実現できた。


studio: takashima studio
タグ:Architecture


階段の”ささら桁”と言われる、踏板を支える部材の加工をしている。(ちなみに”踏板”とは、階段を上がっていく際に文字通り踏んでいく面のことである)。完全に見えなくなってしまうような化粧でないささら桁は、今時工場でプレカットされた集成材(を使ったりすることが多いのだが、onrebase では贅沢なことに、マツとヒノキの1枚板を現場加工して使っていく。(当初ささら桁を製材する前は埃が被っていて何の木か分からなかったが、製材してみるとそれぞれマツとヒノキだったことが判明したのだ)。隠蔽されてしまうのを名残惜しみつつ、驚くべきスピードで板材に加工の墨をつけていく大工さんの仕事に思わず見入ってしまった。


studio: kobayashi studio
Work: On Re. Bas
タグ:Architecture


事務所のパートタイムが全員集まって顔合わせをする会が開かれた。事務所の年表を作成することになり、入社して初めて担当した静岡の倉庫の物件を見返した。主に確認申請をするだけだったが、自分にとっては初めてのことだらけでとてもいい経験になったことを思い出した。今ではあまり緊張せず申請関係の業務をこなせるようになってきた。たった一年前のことなのにすごく懐かしく感じるくらいに濃い一年間を送れているんだなとなんだか嬉しい気持ちになった。


studio: kobayashi studio
タグ:Study


今回の改修では既存のサッシ枠を覆う形で、45mm厚の立派な耳付きの杉板材を窓枠としている。杉板の耳がつくる自然な装飾性を強調するため、内外で連続した一枚板の枠にガラスが嵌め込まれたように見える意匠を目指した。ビスが一本も見えないミニマルな納まりの裏には図面による多くの検討と、工法の工夫が隠れている。工事の瞬間までヒヤヒヤしていたが、ガラスが無事吊り込まれると、耳が作る自然の造形による額縁が姿を現した。この瞬間がたまらない。


studio: kobayashi studio
Work: On Re. Bas
タグ:Architecture


天気が良かったので、増築施工中の新スタジオの屋根の下で仕事をしてみた。今は裏に元々立っていた古い民家の一室をデスクスペースにしているが、新スタジオができたら、この空間で図面を描いたり、模型を作ったり、打合せをしたりする予定である。こうして使ってみると、 周りの景色や空気や日の光を感じることができて気持ち良さを実感するとともに、 地域の人が声をかけてくれたりと、街中で仕事することの良さを感じることができた。早く完成させて、新しい豊かな団地の使い方を提示したい。


studio: takashima studio
タグ:Study


いよいよDIT(=do it together,お施主さんと一緒に工事をすること。archdaily 2021)による内部塗装も仕上げフェーズに入ってきた。舞踊団を主宰するお施主さんのメンバーや友人達がたくさんきて、一気に塗装を行なった。色の切り替わりが多く、見切りの養生等、色々と苦労していたが、終盤の方には作業に慣れてきたメンバーが後から来た人に教えたりするといったことも起きていた。また、普段は現場監督1人でやらなければいけない荷物の片付けや、養生といったことも、能動的に手伝ってくれた。皆自分が現場経験がない素人だというように謙遜していたが、自分に出来ることはないか常に探し続けてくれる様子を見るとDIT冥利に尽きるな、としみじみと思う。


studio: kobayashi studio
Work: On Re. Bas
タグ:Architecture


旅行先で、部材を交換したばかりの鳥居をふと見つけた。金物を一切使わず、くさびと車知だけで継がれた伝統の技術が地域の神社のような身近な場所にも届き続けていて、こうした高度な技がしっかりと息づいているのだと実感した。旅先での小さな出会いの中でこうした技術の尊さを味わうことができた。


studio: takashima studio
タグ:Study


プレス用の図面を作成している。最終仕様に合わせて線画を整え、テクスチャを貼っていく作業だ。分かりやすさを優先した打ち合わせ資料のラフな着色や、モノクロの味気ない確認申請図面とは違い、世に出ていく情報として見栄え良く仕上げる必要がある。施主との打ち合わせの中で何度も描き直されてきた図面に最後の仕上げとして色を差す作業は、メイクアップのようだなと思う。丁寧に身だしなみを整えて送り出す図面が、どこまでも羽ばたいていってくれたら嬉しい。


studio: kobayashi studio
Work: S/Aさんのための家
タグ:Architecture


鉄筋コンクリートの床に穴が開いた。バルコニーであった床の下には元々ダイニングキッチンがあったが、今回の工事では光を取り入れた屋外スペースとして室外化する計画となっている。家族の生活のための必要機能を最低限のスペースに詰め込んで出来てきたテラスハウスには無駄なスペースがない。この吹抜けを通じて1階に太陽光を供給したり、上下階で視線を介したコミュニケーションを誘発したりすることを意図してはいるが、それにしてもただでさえ狭いテラスハウスのなかで、特段の機能を持たない光庭として室外化してしまうのは少々もったいない気もするかもしれない。しかしそうした余白の空間の創出こそが真の狙いである。特定の用途を持たない言わば“余剰の空間”が、合理性でのみ成立している集合住宅群のなかにおいて、予期せぬ使われ方や空間の豊かさを生み出し、文字通り風穴を開けることを期待している。


studio: kobayashi studio
Work: On Re. Bas
タグ:Architecture


まだコンクリートの躯体だけの建物に、テーブルと椅子を置いてみた。壁がまだないので、外からの風が入ってきて気持ちが良い。ここは、キオスク付きのオフィスになる予定だ。そして、実際に作業すると、具体的なイメージが湧いてくる。テーブルはこの配置にしようか。椅子は6脚は必要だ。ここにモニターを設置しよう。すぐ出せるように、ここにコーヒーマシーンを置こう。など。これらは、設計の一つの手法だと思う。そして、とても大事なことでもあると思う。実際に現場の環境に触れ、地域に触れ、そこで過ごしてみる。PCの画面からはわからない、様々な感覚がそこにはある。


studio: takashima studio
Project: 吉野台団地
タグ:Architecture


事務所の保護犬KENZOとの散歩中は、彼の気の向くままに見知らぬ道に入り込むことも多い。先日もそうして歩いていると、視界に黄色やピンクの鮮やかな色彩が飛び込んできた。あるお宅の庭のに色とりどりの花が無造作に咲き、そのうちいくつかがフェンスを超えて道路側に顔を覗かせていたのだ。そこまでは珍しい光景ではないのだが、よく見るとフェンスに「自由にお取りください」と貼り紙がある。管理の手間を減らすためなのか、花を愛でる喜びをシェアしたいのか真意がわからないが、折角なのでお言葉に甘えて黄色い花を2輪いただいて、事務所に飾った。団地にあるオフィスならではの偶然の出会いに、ちょっと気分が良くなった朝であった。


studio: kobayashi studio
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開口補強工事がいよいよ大詰めを迎えている。これまで約2週間にわたり、補強筋の施工、型枠の設置、生コン打設と工程を進めてきた。今回の補強方法は、設けたい開口寸法よりも三方を大きく解体し、その範囲に補強鉄筋コンクリートを新たに打設するというものだ。通常、生コンは型枠の上部から流し込んで打設する。しかし今回は、既存躯体の“上辺”の下側へコンクリートを充填する必要があり、コンクリートの性質からしても容易ではない条件だった。職人たちと現場で何度も打ち合わせを重ね、知恵を絞り最適な方法を模索し続けた結果、特殊な充填方法を開発した。慎重を期した打設も無事に完了した。


studio: kobayashi studio
Work: On Re. Bas
タグ:Architecture


On Re. Baseプロジェクトでは工事において極力新材を使用せず、廃材や端材などを活用することをコンセプトとして進めている。今回はとある伝手で知り合った奥多摩の材木屋さんに、使う当てのない木材を引き取りに伺った。巨大な倉庫の中には家を何十棟と建てても無くならなさそうな膨大な量の木材の山。大量に在庫を抱えたまま開店休業状態なのだという。このプロジェクトの理念に共感していただき、どんな木材でも定額取り放題という形で格安で譲っていただけることになった。ウッドショックが騒がれる裏で、膨大な木材ストックが日の目を見ぬまま捨てられていく。歪な木材流通の実情を垣間見たと同時に、倉庫の中から木材を探す様がさながら宝探しのようで、なんだか楽しい時間だった。


studio: kobayashi studio
Work: On Re. Bas
タグ:Architecture


二年ほど前に加工してそのまま積み上げてしまっていた木材の端材を少しずつ片付け始めたのだが、面白いほど腐っていた。建築現場においてはシロアリや腐朽菌は大敵であること間違いなしだが、こと自然界においてはとても重要な現象だ。二年という月日によって材料が土壌の一歩手前になっていることを見て、あの作業からあれだけ経ったのかと懐かしい反面、自然の分解や循環の力を感じた。この世の中にメンテナンスフリーというようなことはなく、永遠に状態が変わらないものは存在しない。木材も同様で管理を怠れば傷んでしまうが物事には二面性があるので、単純に悪いことではなく自然にとっては良いことでもある。何十年か前はその絶妙なバランスの中で、茅葺きの屋根や石場建ての軸組というものを成立させてきたのであり、現代においてももうしなくていいことなはずがない。このように木は当然腐るものだからである。


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古民家リノベーションの内装工事が進んでいる。白基調のフラットな内装、高性能のサッシ、折り上げ天井に間接照明。古民家なのにマンションライクを求めるお施主さんの要望に応えた“逆張り”の家になっている。壁は厚さ6mmのケイカル板にクロスを貼り込んだパネルを制作し、それを接着して仕上げる仕様で、開口部も特注のスチール枠を制作してもらい、枠の存在感を消す納まりになっている。パネル工法やスチール枠はそもそもオフィスや商業施設などの非住宅用途で、同一規格の既製品を用いて早くきれいに仕上げるための納め方であり、古民家の、ましてやリノベーション工事で採用することは普通はないだろう。お施主さんの逆張り精神に答えた、古民家らしからぬクリーンでミニマルな内装に仕上がる予定だ。


studio: kobayashi studio
Work: Nkmさんの母屋
タグ:Architecture


先日豊田市美術館に訪れる機会があり、見学してきた。軸線が強調された外構が印象的で植栽までもが像のように綺麗に揃えられ計画されていた。都内のビルに植えられた無造作な植栽にはどこか違和感を感じていたが、完璧なまでに同じ高さに切り揃えられ、左右対象に枝を整えられた植栽計画はとても美しいと感じた。建物と同じように外構も計画し尽くさなければ美しい建築は作れないのだなと実感した。


studio: takashima studio
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付き合いのある商社さんの倉庫で在庫セールがあった。巾木材や枠周り化粧材、水栓設備がほとんどだったが、隅に土間シートがたくさん積まれていた。金額を聞くと、1ロール500円でいいとのことだった。自分の記憶だと、ホームセンターで1ロール5,000円は超えていた気がしたのでこれは安すぎると感じた。自分の担当現場でも使うことができるので、とてもラッキーな出会いだった。少しでも安く材料を手に入れ、浮いた分で仕上げや設備のグレードを上げたり、設計させて頂いた内容を妥協しないように務めることができるのも、設計と施工を両立している大きなメリットだと改めて実感した。


studio: kobayashi studio
タグ:Architecture


事務所のダイニングテーブルの天板が完成した。各現場で余ったホワイトセメントとパーライト、そして解体屋さんからレスキューしたガラスを使って制作した。本来このガラスは、事務所改修の際の材料として再利用する予定だった。しかし、経年変化による厚みの揺らぎが大きく、カットの工程でどうしても割れたり欠けたりして“弾かれて”しまうものが生まれてしまった。せっかくレスキューしたガラスなのに、加工の段階でさらに弾かれるガラスが出てしまうことに、どこかやるせなさを感じていた。そこで今回は、そうした「弾かれたガラスの中から、さらに弾かれたガラス」まで素材として迎え入れ、天板づくりに活かすことにした。砕いたガラスを打設時に表面へ撒き、そこからひたすら研磨を重ねて仕上げたことで、素材が持つ不均一さがそのまま豊かな表情として現れている。


studio: takashima studio
Work: ハヤシハウス
タグ:Product


この前の休日、いらなくなった木材達のさらに端材から、写真立てのような物を作った。正確にいうと、世間一般的には捨ててしまうような部材から、結婚式に渡すプレゼントの台座を作ったのだ。信じられないかもしれないが、事実である。僕は、価値のある物は決して高価なものや、手に入りにくい物に限らないと思う。捨てられてしまうような物でも、磨けば美しくなるし、新品では決して手に入れることのできない、時間を持っている。そいういうものに価値があると思う。


studio: takashima studio
タグ:Product


先日引き渡した住宅で、追加の外構工事と合わせて、雨が上がった夜についに玄関の照明が点いた。
夜の明かりは、そこで人が暮らしていることを象徴するようでとても好きだ。ポーチライトに限らず、リビングやダイニング、家は色々な空間から外へ光を漏れ出させる存在だと思う。日本の住宅街では、多くの家が昼夜を問わずカーテンを閉めていて、外から内部の様子はほとんど分からない。街を歩く側からすると、一切生活の雰囲気がわからない窓が並ぶ光景はとても冷たく、街の雰囲気そのものも堅いものに感じてしまう。もし、常に開けておける窓や、内部が直接見えないように配慮された窓があれば、そこのカーテンが一枚開くだけで、光や気配が外に滲み、街の表情は少し柔らかくなる。街並みへのプレゼントのような光を、一つでも作ることができると、街と建物の関係は、もっと良くなっていくと思う。


studio: takashima studio
Work: Ngさんのための家
タグ:Architecture


現場のDIT(Do It Together)作業。自分はパテ塗りを任された。何度か経験している作業だが、毎回難しさを感じる。木パテは乾く過程で痩せるのでツラ(建築用語で表面や部材の最上部のこと)よりほんの少し盛る必要があるのだが、そのちょうど良い盛り加減が未だにつかめない。粘度のあるパテは微調整が難しく、そもそも思うように盛れないこともある。入角の際はヘラが動かしにくい、手早くでも粗くならないように、など、気づきや考え事をしながら手を動かした。表には出てこない「下地」ではあるが、丁寧さを疎かにしてはいけない。転職1年目である自分の「下積み」とも重なると感じた。仕上げに隠れて見えなくなる部分ではあるけれども、今できる精一杯で美しく仕上げたつもりだ。


studio: kobayashi studio
Work: On Re. Bas
タグ:Architecture


竣工した建物をプロの写真家さんに撮ってもらった。毎回この時間を楽しみにしている。
撮影のあいだ、カメラアシスタントとして、外と中を何度もまわりながら、良い角度を一緒に探していく。そうしていると、設計中に考えていた沢山のことを自然と思い出す。「ここからはこんなふうに景色が見えるのか」とか、設計時には想像しきれていなかった視点にも気づいたりもする。撮影が終わり、写真が仕上がると、ホームページでの公開やメディアへの広報など、建物が世の中の目に触れる段階に入っていく。そのために改めて設計主旨の文章を書き直しているが、それは、いわば“嫁入り前の子ども”に、改めてどんな想いを込めたのか言葉にして伝えるような時間でもあると思った。しっかりと世に羽ばたけるように、良い言葉で綴ってあげたい。


studio: takashima studio
タグ:Architecture


事務所で犬(Kenzoと名付けた)を飼い始めて2ヶ月近く経った。スタッフ皆で持ち回りでお世話の日にちを決めて面倒を見ている。Kenzoが事務所に来てからしばらく経つが、事務所に犬がいるというのは中々いいものだ。現場でどんなに疲れて帰ってきても一瞬で癒され、疲れが飛ぶ(気がする)。写真は朝の散歩の様子。Kenzoと背景の落ち葉が同色になっている。秋だ。


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Work: On Re. Bas
タグ:Architecture


兄弟子と弟子、という関係性の大工さん二人組とともに新築住宅を施工している。親方と弟子よりは、比較的関係性がフラットで、これはこうじゃないですか?いやこれはこうだからこうしようという柔らかい決定のもとで作業が進んでいる。かつて大工が集団として活動していた時は、親方と弟子だけではないもっと多様で複雑な、より高みを目指す関係性がそこにはあったのだろうと想像される。こんな状況を次の世代にも何とか残せないだろうか。


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担当していた新築プロジェクトのオープンハウス日程が決まり、ポスター制作を開始した。竣工してからしばらく経って久しぶりに写真を見返した。やはり対比構造が一番印象的でポスターデザインにも活かせないかと試行錯誤しているが、久しぶりのグラフィックデザインに苦戦。大学時代を思い出しつつ、伝えたい情報やの整理と、写真選びや文章、フォントやサイズなどを試行錯誤している。建築設計や現場作業とは少し違う作業を隙間時間で考えることは、頭のリフレッシュにもなるし楽しいなと感じている。これを機にマルチタスクのコツを1つでも掴めるようにしたい。


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机の仕上げを木タイルで作るために、実際にスタディを行い、その場で設計しながら制作してみた。材の状態を確かめつつ、臨機応変に設計をアレンジしていくプロセスにはライブ感があり、非常に刺激的だった。また、素材と対話しながら設計を進めることで、図面上に線を引いただけでは想定できない発見や変化が生まれることも実感できた。


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タグ:Architecture


とあるお客さんから、工事の依頼。お湯の出が悪くなったらしく、見て欲しいとのこと。現場に着いて、水道屋さんと僕で睨めっこ。初めは、配管のサビや給湯器の故障を疑った。しかし、蓋を開けてみれば、給湯器からでているパイプのフィルターの詰まりだった。そこの汚れをとると、元の水量に戻った。お客さんは買い替えも検討していたとのことで、その分の工事代がういた。たぶん、世の中にはちょっとしたことでゴミになってしまうものがたくさんあるのだろう。そういうもの達を、少しづつ救っていきたい。


studio: takashima studio
タグ:Architecture


先日設計提案の打ち合わせがあった。方針は決まっていたが、なかなか最終的な形態が決まらず難航していた。いいプランだとは思えるのだが、確信が持てない。一度初心に戻り、コンセプトや概要をまとめ、自分ができる限りの配置パターンや形状をただひたすらにスタディした。ただただ書きまくる中で色々な発見があり、最終的に自分でも自信満々の設計にたどり着くことができた。しばらく現場監督業務や申請業務が続いていて、学生の頃を思い出すような感覚があった。ひたすら書いている時間はとても楽しかったし、ひらめく瞬間の快感は最高の気分だった。無事打ち合わせも上手くいき、ほっとした一週間だった。


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Work: Iさんのための家
タグ:Architecture


今週は開宅舎さんが管理している市原市加茂地区の古民家3物件の現調をおこなった。1件は開宅舎さんが新たに取得した物件で、入居者募集前に撓んでいる床や天井などの修繕を行う予定。残りの2件はすでに入居者が入居している物件だが、雨漏りがしているということで、屋根の上に登って原因を特定し、対策を検討した。開宅舎さんの物件修繕を継続的に行っていると、古民家の不具合に対する見る目が養われ、対処法もすぐに分かるようになってくる。それはさながらお年寄りばかりの過疎地域で巡回診療を行う町医者のようでもあり、僕らはこうした関わり方を“町医者的建築家”と呼んでいる。空き家が増え続ける過疎地域にこそ、知識と経験をもった町医者的建築家の役割がある。


studio: kobayashi studio
Project: 開宅舎のためのメンテ
タグ:Architecture


先日、自主施工でカフェをつくっているお施主さん主催の外構ワークショップに参加した。ワークショップには庭師さんも参加しており、レクチャーを交えながら、皆で和気あいあいと施工を楽しんだ。最初は見よう見まねで作業していた参加者たちだったが、次第に手際がよくなり、驚くほど積極的に施工を進めていった。中には、こちらがハッとするような工夫を提案してくれる方もいて感心させられた。参加者の積極性に驚かされるとともに、さまざまなバックグラウンドを持つ人々と関わることができ、とても充実したワークショップとなった。


studio: takashima studio
タグ:Workshop